mini EQ で天体写真 #7 〜モータドライブによる死角改善〜2010/03/28

モータードライブマウントを改良したminiEQ赤道儀
図1 マウント改造後のminiEQ天体写真セット
 

モータードライブによる死角改善です。この改造は#6の写真撮影当日、出かける前に行いました。

ミニEQにはモータードライブEQ1-Mが用意されていますが、 赤経微動軸に直接ギヤードステッピングモーターの軸を 接続しているためおおきく出っぱっています。標準レンズなら あまり気にならないのですが、今回の写真セットみたいに 望遠鏡を載せた場合、 南南東の方向の低高度から天頂、北北東の中高度はステッピングモーターやコントロールケーブルが 望遠鏡やカメラにあたり、撮影できない場合があります。 多少の死角ならば天体が死角から出るのを待って撮影をすれば良いですが、 死角が広範囲にわたるため、天体が好位置にありながら撮影不可能という状態です *1

今の赤道儀は本体内蔵型になっていることが多いですが、昔の 赤道儀はミニEQと同様に外付けになっていました。 それでもモータードライブが当って死角が発生することは少かったと思います。 モーターが赤緯体側についているか、赤経体に付く場合、赤道儀の不動点から望遠鏡マウントまでの距離や赤経ギアから赤緯軸までの距離がちゃんと確保されているなど望遠鏡の邪魔にならない位置にあったはずです *2

ミニEQの場合、全体が小さくできているためクリアランスが確保できておらず、 軸直結の赤経体マウント方法で干渉させないというのは難しい話です。 *3 というわけで、今回モータードライブのマウント方法を撮影時に モーターが干渉しないように改造しました。

モーター内蔵赤道儀のモータードライブの位置と同じ、赤経用ウォームホィールの下側におくこととしました。モータードライブの軸と、 赤経微動用のウォーム軸を1:1の歯車で接続すれば *4 、モーターの回転方向も逆にせずそのまま接続すればOKです。

ギアは東急ハンズで吊るしで売っていた協育歯車の0.75モジュール歯数40真鍮製平歯車を使用。0.75モジュール40歯なので、基準円は30mm。したがって モーター軸とウォーム軸の距離も30mmになります。この歯車の歯厚は3mmで軸穴径は6mmです。

ミニEQおよびEQ1-Mの軸は一般的な 微動軸と同様にD型にカットしてあり、どちらも留めネジで 歯車を固定できます。

ウォーム側の軸径は6mmですがモーター軸が5mm *5 で、歯車の6mm軸とは合いません。軸径変換アダプタを介して6mm軸を取り付けると無駄に出っぱり、 折角の確保したクリアランスを食われる結果になるので、 真鍮製の直径6mmパイプ0.5mm厚を使い軸径を 5mmに変換するカプラーを作成しました。 真鍮パイプをギアに合わせカットし、4mmの留めネジの通る穴をあけて おきます。

EQ1-Mのステッピングモーターのマウント金具を外し、現物合わせで 新しいマウントを設計 *6 しました。

部材全て
図2. 新しく用意した部材
 

材料は2mmアルミ板。手持ちの工具で加工できるのはこれが精一杯の厚さ。 穴あけは電動ドリルで板はハンドニブラーで切りました。 軸間距離を適当にあわせて、固定は元のマウント金具と同じ三脚基台のネジ で固定しています。

モーターが支障なく動くことを確認。機能の確認が済んだらハンマートーンの黒で塗っておきます。加熱乾燥させて完成。 完成後はこんな感じになります。

ドライブ部拡大
図3. マウント状況
 
部材全て
図4. 改造前のマウントと改造後のマウント
 

バランスウェイト軸までの距離が近いので、 バランスウェイトを真ん中よりウェイト軸エンド側で固定しないとウェイトにモーターが干渉しますが、実用上問題ない *7 でしょう。


*1天頂から東はテレスコープウエストで狙うのが普通です。死角が発生している方角をあえてテレスコープイーストで狙うと、望遠鏡が三脚ギリギリでカメラファインダーを覗くときに三脚や赤道儀本体に頭があたりファインダーで目標が確認できなかったりします。青ハロシリーズでM45を撮影しましたが、M45が東の低空にある時は撮影できましたが、光害の影響が少ない高度まで上がると撮影出来なくなる状態でした。
*2手持ちの機材ではMizar AR-1が赤緯体マウント。センサー赤道儀とMark-Xが軸直結の赤経体マウントです。
*3それでも直結式モーターを付けてくるところがいろいろ大雑把で細かいところをまるっきり考えてない感じがして「好感(?)」が持てます。
*4ステッピングモーターを赤道儀にセットした状態でモーターから軸の出る方角が オリジナルの直結式では東向きですが、今回西向きにセットします。
*5もともとEQ1-Mではばね構造の自在継手でこの軸径変換をしていました。
*6斜めにカットしている部分は重要です。ここの部分を方形に残したままにすると、低緯度地域でマウント金具が赤道儀の三脚基部に干渉します。
*7今回の天体写真セットでは望遠鏡側も結構重く、ウェイトは軸端近くによっているので、もともとぶつからないです。

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