miniEQで天体写真#12 〜miniEQ赤道儀の精度〜 ― 2013/03/26
「miniEQは基本的に眼視用である」と以前評価しましたが、実際の写真撮影データから見てみたいとおもいます。
以前多重合成用に自作のオフセット計算プログラムを作りました。計算プログラムからは基準画像に対する写野のXYオフセット量が出力されます。合成時そのデータは写真rawファイル名とともに合成経過リストに出力されるようにしています。今回はこのデータをもとにminiEQの精度を計算してみました。
データは前回miniBORG50で撮影したM65のものを使用します。実撮影時間は70分ともっとも長時間でした。(実際に合成で使用出来たのは大体半数強です)
オフセットプログラムはオフセット量をピクセル単位で出力します。miniBORG50で1ピクセルが何角度秒になるか計算しておきます。 大雑把ですが、焦点距離200mmのレンズではフィルム/撮像素子面の1μmが1角度秒に相当します。nikonD40 のピクセルピッチは7μmとされています。miniBORG50のレデューサこみの焦点距離が213mmなのでおおよそ7[arcsec/dot]ということになります。
通常の赤道儀でピリオディックモーションと言えば赤緯方向の動揺のみで評価するみたいですが、miniEQの場合赤経方向にも動揺が同程度あります。そこで、miniEQの平均的な移動速度を求めておき、そこからの差をとり赤経赤緯のΔα-Δδ軸でグラフにプロットもすることにしました。結果はグラフの通りです。1枚目が通常のピリオディックモーションのグラフ。二枚目がΔα-Δδグラフです。
グラフからわかる通り、平均的な赤道儀の運動≒星の動き に対し赤経赤緯方向 それぞれ±90[arcsec]の動揺があることがわかります。 また同じような軌跡を周回しているようにみえること。一枚目のグラフから周期が900秒=赤経のギアが96枚のminiEQのギア1歯分の時間=ウオームギア1周分の関係よりおそらく大部分はウォームギアの精度由来であることも推定されます。
天体撮影を意識した赤道儀の精度が10角度秒以下、入門向けの赤道儀でも30角度秒程度の実精度を持つことを考えると、手持ちのminiEQの精度はやはりあまり良くはないと言えるでしょう。 完全放置で数分間の露出で撮影できるのはminiBORGの焦点距離の1/10である20mm程度でやっと。あまあまに見積もって50mmと言う感じでしょうか。
M106棒渦巻銀河 ― 2013/03/24
茨城県笠間市
PENTAX100EDUF+L41+SC-48絞り Nikon D40
センサー赤道儀ノータッチガイド 42秒×60枚合成
中央部トリミング50%縮小
M106棒渦巻銀河。NGC2903同様にSBbc棒渦巻銀河で銀河系と同じタイプ。銀河系から近い2300万光年にあるため大きく見えています。
M106周辺に幾つか中くらいの大きさの銀河が写っていますが、距離により幾つかのグループに分けられます。
M106の左上すぐにある銀河 NGC4248 はM106とほぼ同じ距離にある銀河。
右下の紡錘形のNGC4346は5000万光年弱。
左上と右上の紡錘形の NGC4220 NGC4217 は6000万光年程度の距離。
さらにNGC4248から上に点状に二つ並んで NGC4231 NGC4232が写っているが、これらは3億光年程度の距離があります。
それぞれが群をなしているのかもしれないですね。
M97ふくろう星雲とM108渦巻銀河 mini-mini版 ― 2013/03/24
M97ふくろう星雲とM108渦巻銀河 ― 2013/03/24
茨城県笠間市
PENTAX100EDUF+L41+SC-48絞り NikonD40
センサー赤道儀ノータッチガイド 42秒×73枚合成
中央部トリミング50%縮小
先週撮って未処理だった分。
惑星状星雲と系外銀河が同一写野内におさまります。
D40はノーマルのままなのでM97の赤色部分は写っていません。
SC-48絞りを使用しているがM97の様子から青色の光もとらえられており、なおかつ青ハロも抑えられているのがわかります。
M97は2000光年程度、M108は3500万光年とその距離は1万倍以上の開きがあります。
さらにはNGC3594など幾つか背景銀河は数億光年彼方です。
おとめ座銀河団 ― 2013/03/17
茨城県笠間市
miniBORG50+7885レデューサー+L41+SC-48絞り
miniEQ赤道儀ノータッチガイド 30秒×58枚合成
トリミングなし33%縮小
ざっくりと処理してトリミングなしのまま。合成のずれた部分等残したままになってます。
合成枚数が60枚弱なので合成露出的には30分程度です。合成最初のコマと最後のコマの合田には1時間程度の差があります。30秒でもminiEQのピリオディックモーションで大きく動いている部分は星が流れ、歩留まりが60%程度になってしまうためです。逆にいうとピリオディックモーション由来なため、歩留まりは大体一定であるため、欲しい露出時間からおおよその撮影時間が推定できます。
極軸がある程度の精度で合わせられれば、1時間たっても合成可能な範囲で追随できます。この絵の例では x方向(南北方向)に約50ドット。y方向(東西方向)に約70ドットのずれでした。
おとめ座銀河団中心部をminiBORG50で狙ってみました。トリミングしていないので、全景で見たときのminiBORGの星像の様子がわかります。
この付近は銀河が多く、miniBORGでも数え切れないほどの銀河が写ってました。
中央やや下にM87、中央左側にマルカリアンの鎖。
左上はM99、左下にM88。
中央右のNGC4429は33%縮小の絵でもわかります。
縮小なしの絵をみると、13等クラスの銀河まで写っています。